オフィス用語

知っておきたい連帯保証人に関する基礎知識

2021.06.11

企業が銀行から融資を受ける際などに連帯保証人を記載する必要があります。会社の経営を行っていると様々な場所で連帯保証人が必要になることも。

今回は、連帯保証人とは何かという基本的な事項から、保証人と連帯保証人の違いや連帯保証人がいない場合の対策に至るまで徹底解説。

連帯保証人について曖昧なイメージしかなかった方は、この機会にぜひ理解を深めてくださいね。

1 そもそも連帯保証人とは?


本来であればもし法人が破産しても社長個人に影響はありません。ただし社長が会社の連帯保証人になっていると、社長個人の返済義務が発生します。

そして法人の債務を法人の代表者が個人保証しているケースは非常に多く、そのような場合は「法人の債務を代表者が保証人として責任を引き受けている」ことになるため保証債務の支払責任が発生します。

ここからは連帯保証人とはどのような人のことを指すのか、詳しく解説していきます。

1-1 主たる債務者と同等の責任を負う人のこと

連帯保証人とは、「契約によって、主たる債務者と同等の責任を負う人のこと」を指します。

銀行から融資を受ける際、銀行は「本人が万が一ローンの支払いができなくなってしまった場合、一体誰が支払ってくれるのか」という点を心配しているのです。

例えばあなたが万が一経済的に苦しくなってしまい、ある日突然こっそりと夜逃げしてしまった場合を考えてみましょう。銀行側からすると、せっかく貸したお金が戻ってこないといういわゆる「貸し倒れ」状態になる訳です。

融資は慈善事業ではありませんから、貸し倒れだけは絶対に避けなくてはなりません。

そのため銀行は融資の際、主たる債務者と同等の責任を負ってローンを返済をしてくれる人 = 「連帯保証人」を要求してくるのです。

連帯保証人がいれば、銀行としてもひとまず安心して融資ができるというわけですね。

 

1-2 銀行融資における保証人とは連帯保証人のことを指す

本来「保証人」と「連帯保証人」は、それぞれ別の存在です。

しかしながら、銀行融資の文脈で「保証人」というキーワードを耳にした場合、それは必ず「連帯保証人」のことを指していると考えてください。

銀行融資における「保証人」とは全て、先ほど説明した「連帯保証人」のことなのです。

 

1-3 連帯保証は主たる契約とは別の独立した契約

連帯保証人になる場合、配偶者や親族が銀行との間で「連帯保証契約」という契約を締結する必要があります。

「金銭消費貸借契約の一部として連帯保証がある」と勘違いされやすいようですが、実はメインの契約とは別の独立した契約なのです。

とは言っても実務上は、主たる債務者に同伴して一緒に署名捺印するだけなので、どうしても「独立した契約である」という意識が薄くなってしまいがちであるのは確かでしょう。

ただし注意していただきたいのは、連帯保証人の負う責任は主たる債務者と同等であるという点です。

一度契約を締結すれば、主たる債務者と一緒に大きな借金を負ったようなものだと考えてください。なんと、利息や遅延金、場合によっては損害賠償に至るまで責任を負います。

主たる債務者と「同等の責任」とはそういう意味です。「とりあえずサインしておけば良いんでしょう?」と安易な考えは捨てて、債務者と運命を共にするくらいの覚悟が必要と言えるでしょう。

 

 

2 連帯保証人と保証人の違い

先ほど、「銀行融資の文脈において保証人とは連帯保証人のこと」という説明をしました。ただしこれはあくまで銀行融資における慣習上の話ですので、連帯保証人と保証人は法律上別物です。

混同してしまわないようにここで一度、連帯保証人と保証人の違いについて押さえておきましょう。

2-1 保証人には抗弁権がある

保証人とは第四百四十六条にて以下のように定められています。

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
出典 : 電子政府の総合窓口 e-Gov

この点については、保証人も連帯保証人も同じです。

ただし保証人には「抗弁権」という特別な力が認められており、これを法律の世界では「保証債務の補充性」と呼びます。

民法では452条と453条に抗弁権に関する以下のような規定が置かれていますので、一度確認しておきましょう。

第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。(催告の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。(検索の抗弁)
法律用語が多すぎて、ちょっとわかりづらいかもしれませんね。

少し噛み砕いて説明すると、保証人に認められている抗弁権は要するに以下の2つです。

  1. 催告の抗弁権...債権者(銀行)が主たる債務者ではなく、いきなり保証人に「代わりにお金を支払ってくれ!」と請求してきた場合、「いやいや、まずは主たる債務者に請求してください!」と拒むことのできる権利のこと
  2. 検索の抗弁権...主たる債務者が返済を拒否したことを理由に、債権者(銀行が)保証人に対して「代わりにお金を支払ってくれ!」と請求された際にも「ちょっと待ってください!主たる債務者には返済能力があります。まずは主たる債務者からお金を支払ってもらってください!」と主張することのできる権利のこと。

つまり保証人の場合、ある程度債権者に対して返済を拒む権利が法律上認められているのです。

そのため、保証人が主たる債務者に代わって支払いを行わなければいけないケースはある程度限定されていると言えます。

 

2-2 連帯保証人には抗弁権がない

保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権があると説明しました。

一方連帯保証人の場合は、民法第四百五十四条にて以下のように定められています。

保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
出典 : 電子政府の総合窓口 e-Gov

条文中にある「全二条の権利」とは、催告の抗弁権と検索の抗弁権のことです。つまり、「連帯保証人にはこの2つの抗弁権がない」とハッキリ書かれています。

ということは、もし銀行が主たる債務者ではなく連帯保証人にいきなり支払いを請求してきた場合にも拒むことはできません。

また、主たる債務者に返済能力があるにも関わらず、銀行が連帯保証人に支払いの請求をしてきた場合にも応じる必要があるのです。

つまり連帯保証人は、保証人よりもその責任の範囲が広いということになります。

 

 

3 連帯保証人になれる人はどのような人?

3-1 資力があり尚且つ行為能力を有する人

連帯保証人になるためには、「資力」があり尚且つ「行為能力」を有する人物であることを要します。

まず「資力がある」とは「支払いを行うことができるだけの安定した収入がある」ということです。主たる債務者と同等の責任を負わなければならないのですから、「無収入」では話になりません。

もう一つの条件は「行為能力」です。行為能力とは「契約などの法律行為を1人でしっかりと完結できるだけの能力」を意味します。通常の成人の場合、ほとんどの方がこの行為能力を有していますので、ほとんど問題にはならないでしょう。

ただし連帯保証人となる人物が認知症に罹患している場合などは、この「行為能力」を欠いている状態と言えますので、原則として連帯保証人になることはできません。

 

3-2 実務では配偶者もしくは親族が連帯保証人となる

法律上は、資力と行為能力さえあれば連帯保証人になれます。しかしながら、銀行融資の実務においては話は別です。

原則として融資を受ける際の連帯保証人には、「配偶者」もしくは「親族」が要求される場合がほとんどでしょう。

ここで一つの疑問が生まれます。それは「配偶者が収入ゼロの専業主婦であった場合、"資力"の要件を満たすことができないのではないか?」という点です。

そこで、主たる債務者が病気で死亡したしまったケースを考えてみましょう。主たる債務者が死亡すれば当然ながら、相続が発生します。相続とは、財産だけではなく「負債」までも引き継ぐ行為です。被相続人が莫大な借金を負っていた場合、これも相続によって承継されます。

相続人には相続を拒否する権利=相続放棄が認められてますので、被相続人の負債を背負いたくない場合には相続放棄を行うことができます。

もし家族全員が相続放棄した場合を考えてみてください。銀行は誰にお金を請求すれば良いのでしょうか?主たる債務者が死亡し尚且つ全員が相続放棄をした以上、もう貸したお金が返ってくる見込みがなくなってしまいました。

このような最悪のケースを回避するためにも、相続第一順位の配偶者を連帯保証人にしておくことで、最低限として「債権を保全する」狙いがあるのです。

 

 

4 連帯保証人になってくれる人がいない場合

連帯保証人になってくれとお願いするということは、「一緒に借金を背負ってくれませんか?」と訊ねているに等しい行為です。あなたの配偶者も親族も、なかなか首を縦に振ってくれない場合も多いでしょう。独身で身寄りがない場合だってあります。

そのような「連帯保証人になってくれる人がいない」場合は一体どうしたら良いのでしょうか?

4-1 団体信用保険に加入する

団体信用生命保険とは、融資を受けた人が死亡もしくは高度障害になった場合に、保険会社が本人に代わって残債の全額支払を行うものです。

保険料を支払ってこれに加入することで、連帯保証人がいなくても融資を受けることができるようになります。

ただし融資上限が低くなってしまったり、金利が上がってしまうなどのデメリットもあるため、配偶者の連帯保証付きの融資には及ばないことが多いようです。

 

 

まとめ

本日は連帯保証人について詳しく説明しました。

連帯保証人は保証人よりも責任の範囲が重いこともあり、配偶者や親族を説得するは骨が折れるでしょう。

もし説得する場合はプランニングや運用後の見通しなどをしっかりと説明していくことが大切になってくるでしょう。

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