その他

副業を取り入れている企業、副業制度を取り入れるための注意点

2021.11.05

働き方改革によって副業がより積極的に活用されるようになりました。

さらにコロナ禍ということもあり副業のニーズはより多様化しています。

副業制度を活用することは企業にも個人にもメリットがありますが、同時に理解しておくデメリットや制度なども存在します。

今回は副業についての基礎知識、企業の導入事例、副業のメリットデメリットなどをご紹介していきます。

1 そもそも副業とは

副業とは、一般的には本業以外で収入を得る仕事のこと。

副業が広がっている今、実践例としては飲食店などでのアルバイト、自宅での内職、インターネットを介したビジネス、ライティングやデザイン業務のクラウドソーシングなど多種多様です。

副業は明確な定義がないため、複業や兼業などと混同されている方も多いかもしれません。きちんと区別しておきましょう。

 

1-1「複業」との違い

副業の場合、本業にかける時間や労力の割合が圧倒的に多いことが特徴。一方、複業の場合は、本業と副業と分ける概念がなくなります。各仕事の重要度の比率が同等になります。

 

1-2「兼業」との違い

兼業も副業や複業と同じく、法律上の明確な区分がありません。

ただ、単発や部分的に発注先企業の業務に関わっていく副業と比較すると、事業を経営する要素が強くなります。

例えば、サラリーマンが農業もする、ガソリンスタンドにコンビニを併設するなど、本業以外でもう一つの事業を運営、経営する場合に用いられることが多いようです。

 

 

2 企業の事例

副業制度を導入している企業をピックアップしました。

制度設計を検討している方は参考にしてみてください。

 

2-1 ANAホールディングス株式会社

ANAホールディングス株式会社は、コロナ以前にも個人事業主としての副業を一部認めていましたが、コロナによる業績悪化の影響を受けて、他の事業会社と雇用契約を結ぶことについて許可しました。

飛行機の減便等でフライトアテンダントの歩合給が減る中、企業側にとっては強制解雇を行う前に他社で収入を得てもらうことが有効な手段として考えられます。

 

 

2-2 日産自動車株式会社

日産自動車株式会社は、実は2009年に副業を解禁しています。

大手の中でも早い時期ではありますが、その当時はリーマンショックの真っ只中。やはり他社で収入を得てもらうための方策でした。具体的には、臨時休業日に8時間以内であれば副業が認められました。

 

2-3 カゴメ株式会社

カゴメ株式会社は、月45時間以内の副業を認める一方、で健康を害さないために必要に応じて社内の保健師に相談できるという制度も設けています。

 

 

2-4 富士通株式会社

富士通株式会社は、副業申請書の提出で副業を認めるだけでなく、2020年2月には、 大日本印刷、 パーソルキャリアと協同で、丸の内のビジネスパーソンを対象に「副業」の希望者をマッチングするサービスの実証実験を行うなどの施策も。

個人のスキルアップ等が可能な副業に対して積極的な姿勢を見せています。

 

 

2-5 ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では元々、コアタイムのないフレックスタイムやオフィス内の好きな場所で働ける「どこでもオフィス」等の働き方を広く認めていましたが、個人のスキルアップを自発的に行ってもらうため、副業解禁にも踏み切っています。

「創造的な仕事をするためには、自由な働き方が必要」というマインドセットのもと、事前に申請をすることで、副業をすることが可能です。

具体的には、副業の内容を申請書で申請すること、他社と雇用契約を結ぶことは禁じる等でコントロールしています。

 

 

2-6 株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントでは、2019年10月に、副業を促進する制度「Cycle(さいくる)」を導入しました。この制度は、技術者を対象に、業務時間外に各自で仕事を請け負うことを許可するというものです。

従業員にとっては、ニーズに合わせて給与以外の報酬を得ることができるというメリット、そして企業側にとっては、これまで外注していた案件をグループ内で完結できるというメリットがあります。これにより、従業員のスキルアップや企業全体としての仕事の質の向上が期待できます。

 

 

2-7 株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーでは、2017年10月、従業員の生産性や能力の向上を目的に「クロスジョブ制度」と「副業制度」を導入しました。

これにより、従業員は別の部署での勤務と、社外での勤務が可能になりました。従業員が本当にやりたいことをできる環境を整えることにより、本業にいい影響が出ることを期待しているそうです。

 

 

2-8 株式会社クラウドワークス

株式会社クラウドワークスは、2016年7月に、多様な働き方を実現するための新制度「ハタカク!」を導入しました。

新制度の一環として、すべての従業員を対象に、副業が容認されています。副業を解禁する目的としては、本業以外の業務に携わることによるスキルアップ、そして従業員が実際にクラウドワーキングを行うことによるサービス検証・改善が挙げられます。

 

 

2-9 ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社では、2016年6月に「社外チャレンジワーク制度」という制度を導入しました。「社外チャレンジワーク制度」とは、従業員にプライベートの時間を使った兼業を許可する制度のことです。条件として、以下の3点が挙げられています。

  • 本業に支障をきたさないこと
  • 兼業は、就業時間外・休日のみとすること
  • 入社3年目以上の従業員であること

従業員は、立候補の届け出を行った後、以上の条件を満たしていれば、兼業を容認・支援してもらうことが可能です。

 

 

2-10 株式会社メルカリ

株式会社メルカリでは副業が推奨されており、従業員は書籍の執筆からコンサルティングまで、幅広い業種の副業をすることが可能です。

また、有料セミナーの全額補助や、ビジネス書購入の全額補助など、従業員が新しいことにチャレンジしやすい環境が整っているのも、参考にしたいポイントのひとつです。

 

 

3 副業が注目される背景

労働環境の改善に向け、政府は働き方改革を推し進めてきました。さらにコロナにおける働き方の変化も大きく影響していると考えられるでしょう。

労働に関する法律のさまざまな項目が改定され、新しい法案も制定されています。

 

3-1 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の策定

2018年は副業元年とも言われています。

この年、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しました。本ガイドラインでは、それまで禁止事項だった副業や兼業について国が推奨する方向性を示します。

また、副業を認める企業への留意事項がまとめられており、この公表によって副業を解禁する企業が増えていきました。

厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン(2020年9月改定版)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf

 

3-2 「モデル就業規則」の改定

上記と同時に厚生労働省が公表する「モデル就業規則」も改定されました。

これは企業が就業規則を制定・作成する際に参考にする資料です。

従来版にあった副業を禁止する文言が削除され、新たに副業・兼業を許可する際の参考事項を記載した章が追加されました。企業はその内容をモデルにしながら副業・兼業の解禁を進めやすくなったと考えられます。

厚生労働省:モデル就業規則
https://www.mhlw.go.jp/content/000496428.pdf

 

3-3 コロナ禍でさらに高まる副業需要

2020年のコロナ禍で企業の事業活動が制限されるケースも。

さらに感染終息の先行きが見えない中、将来的な雇用への危機感や漠然とした不安感を覚える人も増加しています。

加えて、日常生活における行動の自由度が下がり、企業もテレワークを導入するなど、自宅で過ごす時間が増えたことが後押しとなって、将来の不安解消や収入確保の手段として、インターネットを介する副業の需要がより活発化すると考えられるでしょう。

 

 

4 副業のメリット

副業は、従業員と企業の双方にさまざまなメリットをもたらすことも。

労働者側と企業側、それぞれのメリットを見ていきましょう。

 

4-1 労働者側のメリット

  • キャリアにプラス

従業員は副業を通して、本業では得られない経験をすることも可能に。そのため、新たな知識の獲得やスキルアップが期待できます。

さらに本業との時間調整、副業で引き受ける仕事の種類、将来への活かし方などを自分自身でのコントロールが求められるため自律性を養うこともできるでしょう。

  • 収入の増加

副業からも収入が得られるため、当然ながら総収入額が増えます。

増えた分だけ生活上の支出をカバーできるでしょう。

近年はビジネス環境の変化も激しく、勤務先の経営がいつ悪化するかわかりません。たとえメインの企業の収入が下がってしまったとしても副業があれば、収入ゼロに陥るリスクは下がるでしょう。

 

4-2 企業側のメリット

  • 人材育成

手段が副業であっても、より多くの経験を積み、スキルアップを続ける人材のほうが価値が高いと考える企業も少なくないはず。発揮される高い能力やスキルは、いずれ社内にも浸透していきます。

業務をスムーズに進められる自律的な社員が増えれば、人材不足を緩和する効果も期待できるでしょう。逆に、副業を禁止していることが求職者の企業選択や従業員の勤続の障壁になることもあり得ます。

  • 企業のイメージアップや事業拡大

副業は自分の市場価値を高める手段の一つでもあります。これは個人だけでなく企業にも当てはまります。

働き方改革は社会的にも認識されるようになり、企業の積極的な取り組みはプラス要素として考えられます。

副業を含め、多様な働き方を承認することは企業イメージを向上させ、業績向上や事業拡大の可能性を高めるでしょう。

 

 

5 副業のデメリット

副業すること、副業を認めることにはデメリットもあります。企業が副業解禁に踏み切る場合は対策を取っていきたい項目です。

 

5-1 労働者側のデメリット

  • ワークライフバランスが保ちにくい

本業に加えて副業を行うとなれば、本人の仕事時間は副業する分だけ長くなります。長時間労働につながりやすいことは副業の大きな懸念点です。

本業以外の時間を使うため、必然的に休息や休養の時間が減ります。副業で得られる経験/スキル/収入と引き換えとなりますが、趣味や家族と過ごす時間の確保は本業のみの時より難しくなるでしょう。

  • 税金対策が必要

本来、収入を得た場合は、確定申告が必要です。

企業に勤めている場合の収入は、会社側が行ってくれることが多いでしょう。しかし副業の収入はかかった経費を自分で管理し、本業とは別に申告しなければならないため、税金の知識が必要となるでしょう。ただし、副業による年間所得が20万円以下の場合は、申告の必要はありません。

 

5-2 企業側のデメリット

  • 本業に支障をきたすリスク

副業によって従業員の全労働時間は長くなります。副業の仕事/時間を企業が管理することは難しいのですが、過重労働となれば本業に支障が出ることも考えられるでしょう。

健康を害すれば、離職の可能性も出てきます。体調不良による業務への影響は、個人の問題だけでは済まないケースも多く、その悪影響が職場のメンバーや取引先に及ぶこともあるでしょう。

  • 情報漏洩のリスク

副業であっても人材が他社の業務に携われば、競合企業に知識・スキルが流出するリスクがあります。また、自社の顧客や取引先の情報、仕事のノウハウといった内部情報が漏れてしまう可能性もあるでしょう。本業で契約している自社のツールなどを活用して複業サービスを行っている可能性も考えられます。

規模によっては大きな損失や損害に発展することもあるため、副業を解禁する場合は、明確な規定やルールを定めるなど強固な対策が必要です。

 

 

6 副業解禁する企業の注意点

副業を解禁する企業が注意しておきたいポイントを解説します。

 

6-1 副業を認める条件の設定

副業を解禁する際には、取り組む条件を明確にしておきましょう。
設定しておきたい主な項目は以下のようなものです。

  • 対象とする雇用形態
  • 許可・禁止する副業の範囲(業種/業務)
  • 申請や報告のフロー(窓口・書式・方法)
  • 禁止事項
  • 違反した場合の罰則・処分

6-2 副業に関する規定を就業規則に明記

上記の条件項目も含め、決定した内容は就業規則に規定しておくことが重要です。

また、副業を認めるだけに留まりやすい「許可制」より、副業の内容や労働時間を把握できる「届出制」の適用が推奨されています。

 

6-3 社員の健康管理と社会保険

企業には、安全配慮義務があるため、副業を認めた場合も健康を害することがないよう労働時間に配慮しなければなりません。

法定労働時間は本業と副業の通算です。従業員の副業状況を把握し、状況によっては調整することも必要でしょう。

社会保険については、各事業所が要件を満たしていれば両社で適用となります。

管轄の年金事務所に届け出ることで、本業/副業の賃金比率が算出され、各社の社会保険負担額が決まります。ただし、労働時間が短いなど社会保険の適用要件を満たしていなければ、いずれにも負担は発生しません。

 

 

まとめ

今回は副業制度やメリットデメリットなどについてご紹介してきました。

適切に利用すれば企業、個人共に魅力的な選択肢となり得るでしょう。しかし確定申告や制度設計を怠ると非常に大きなデメリットが発生してしまうかもしれません。

副業を行う際はぜひ気をつけるポイントを意識して進めてくださいね。

NEWESTハイッテ最新居抜き物件

MAIL MAGAZINE

メールマガジン登録

新着の居抜き物件やオフィス移転の参考になる情報をお届けします。