自治体インタビュー

【自治体インタビュー#15】岩手県八幡平市|未来を見据えた「面白い」ことをはじめるまち

2022.08.03

岩手県八幡平市役所 商工観光課の中軽米氏に、八幡平市で働く魅力や企業誘致への想いを伺いました。4つの山が広がる雄大な自然に囲まれたエリアです。

八幡平市役所

商工観光課

課長補佐兼企業立地推進係長 

中軽米 真人 氏

 

【八幡平市公式サイト】

 

1.八幡平市について

1-1.特徴


八幡平市は岩手県の北西部に位置しています。平成17年に西根町、安代町、松尾村が合併して誕生しました。

明治初期から昭和47年まで硫黄の採掘が行われ、アジア最大の硫黄の埋蔵量といわれた松尾鉱山がありました。当時最新の設備が整っていたことから「雲上の楽園」と呼ばれていました。時代の移り変わりと共に閉山しましたが、今もなお当時のままアパートが残されており廃墟マニアに注目されています。西の軍艦島、東の松尾鉱山に代表されるほどです。

 

石油の精製過程で回収された副産物とのコスト競争で松尾鉱山の経営に陰りが見え始めた昭和30年代初頭から、次の産業を求めて観光産業にシフトしました。この一連の流れの中で「安比高原スキー場」の開発などに「株式会社リクルート」創業者の江副浩正氏も携わりました。

八幡平市は、安比高原スキー場の他にも温泉やキャンプ場などのレジャー施設も充実しているため、多くの観光客が訪れています。

 

 

画像出典:安代のりんどうの紹介

 

農業では、合併前の町村名がついている「安代りんどう」が有名です。国内シェア3割以上、日本一の生産量を誇ります。安代りんどうの新品種の研究開発を行う研究所「花き研究開発センター」を市が運営しています。

安代りんどうは切花として日本から唯一、世界で最も花が取引されるオランダの「アールスメール市場」に輸出しています。内陸部の冷涼な気候が八幡平とよく似ていたことが縁で、2015年にアフリカのルワンダ共和国でも安代りんどうの実証栽培がはじまりました。ルワンダ共和国で栽培できる体制を整えたことで、日本が冬の時期でも通年で出荷可能になりました。ルワンダ共和国と繋がりがある唯一の自治体ということで、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のルワンダ共和国のホストタウンになっています。

また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会でメダリストに副賞として贈られるビクトリーブーケに安代りんどうが使用されました。

 

 

1-2.観光エリア

八幡平市は、オールシーズンリゾート地です。桜や紅葉を見たり、登山やウィンタースポーツなどを楽しめます。

岩手県はゴールデンウィーク頃に桜の見頃を迎えます。山頂に繋がる観光道路が開通し、雪の壁に囲まれた道で桜と雪の景色を同時に見られる絶景です。岩手県で一番標高が高い岩手山にある「岩手山焼走り国際交流村」は登山・キャンプ・温泉がまとまっているためアウトドア好きの人におすすめです。

画像出典:安比高原スキー場 ‐ スキー場情報サイト SURF&SNOW

北京オリンピック2022で金銀メダルを獲得した、スキージャンプの小林陵侑選手とノルディック複合の永井秀昭選手八幡平出身です。小林選手はアジア人として始めてワールドカップ年間総合王者に2度もなっています。アルベールビル五輪でノルディック複合団体で金メダルを獲得した三ヶ田礼一選手も八幡平市の出身で、市内にスキー場やジャンプ台がありウィンタースポーツが身近で、選手の輩出が多いのではないでしょうか。

 

画像出典:八幡平ドラゴンアイを見てみよう

 

画像出典:ハロウ安比校の施設 - Harrow Appi

 

八幡平山頂遊歩道にある「鏡沼」が春の雪解けの時期に姿を変える、「ドランゴンアイ」は幻の絶景です。龍の眼に似ていることから呼ばれるようになりました。見頃になると山に繋がる道路が大渋滞するほど観光客で賑わいます。

 

また観光から少し離れますが、安比高原に今年8月「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン」が開校する予定です。元英国首相ウィストン・チャーチル氏やジャワハルラール・ネルー氏などを輩出した450年の歴史を持つ、英名門私立校「ハロウスクール」の日本初の姉妹校となります。八幡平の大自然の中で学び、地域の人や産業と繋がりが生まれるようなカリキュラムも検討中です。

 

1-3.オフィスエリア

画像出典:八幡平市起業家支援センター - 岩手県

 

八幡平市は、IT起業家育成プログラムに取り組んでいることから、都内のIT企業が子会社を設立したり本社を移転することも少なくありません。地元企業の技術力が高い街のため製造業も多く集積しています。

シェアオフィス「八幡平市起業家支援センター Startup Core」がある大更駅周辺が八幡平市のオフィスエリアと言えます。2階の4部屋は現在満室ですが、1階のコワーキングスペースは常時利用可能です。1階は登録をすると5年間利用料無料、それ以降は年間1万円で利用できる点が特徴です。登録者が増加しているため、2号館の建設計画を進めています。八幡平市起業家支援センターは、企業同士や地域と企業が交流する拠点になっています。私自身も市内を練り歩き、地元の事業者の課題を吸い上げ、シェアオフィスに登録している企業と繋ぎ合わせたりしています。

 

 

2.八幡平市で働く魅力

画像出典:起業志民プロジェクト~世界が選ぶICT起業家育成エコシステム

 

IT起業家育成プログラム「スパルタキャンプ」を、1年に1度、3ヶ月間開催しています。完全無料の短期集中型プログラミング合宿です。

プログラム期間内で、知識ゼロでド素人の状態からWebサービスやアプリを自分で開発できるようにします。新規事業の作り方・ビジネスのイロハを教えることで、卒業時に起業することを目指します。卒業後にそのまま八幡平市に残る人も多く、八幡平市起業家支援センターに入居して起業する際の事業計画・資金調達なども市が全面的に協力しています。

スパルタキャンプは、卒業生が講師を担当していて、スパルタキャンプで育てた起業家が次世代を育成するエコシステムが成立しています。

初期は定員割れしていましたが、近年応募者数が定員の数十倍になるほど増え続けていて選考をしている状態です。北はイングランド、南はニュージーランドといった海外在住の日本人もやってきています。

プログラム期間中はコテージで共同生活になるので、寝食を共にする点も本プログラムの魅力ではないでしょうか。本年度は2022年8月5日(金)まで応募を受け付けています。

 

 

画像出典:プロジェクト概要

 

八幡平市は人口2万4千人の過疎地であることをネガティブなものとして考えるのではなく、いずれ世界中に訪れる未来の姿を先取りした姿であるととらえて、人口減での持続可能な社会を実現する医療×テック産業の中心「八幡平市メディテックバレー」プロジェクトを立ち上げています。目指すべき先は、地域が人口減少に立ち向かうための仕組みづくりを全国に広めることです。

AIやICTの力を活用した遠隔医療と、高齢者の健康を守る安心安全な見守りの実現を目指す取り組みなどを実施しています。そのうちの一つで、見守りサービス「Hachi」の実証実験が行われています。AP TECH株式会社が開発したアプリで、インストールしたApple Watchを装着すると遠隔でバイタルデータ取得、緊急時のSOS送信、位置情報の取得などが可能です。スパルタキャンプ卒業生も「Hachi」の事業に協力することで事業推進や起業推進のサイクルの確立も目指しています。

 

 

3.企業向け助成金制度

実際に進出される際は下記の制度の利用を提案しています。

 

■企業立地促進事業費補助金

工場等を新増設したことに要した経費の一部を補助するもの

 

▼対象業種

製造業、道路貨物運送業、卸売業、ソフトウェア業、倉庫業、こん包業、情報サービス業、学術・開発研究機関

 

▼対象経費

土地購入費、工場等建設費、機械設備費

 

▼概要

 

 

新設、増設の別 固定資産投資額 新規常用雇用者数 固定資産投資額に

対する補助の割合

補助限度額
新設 5,000万円以上 5人以上 10分の3 3億円
2,000万円以上 1人以上 1,500万円
増設 1億円以上 10人以上かつ増設後の常用雇用者10人以上増加 10分の3 3億円
2,000万円以上 1人以上かつ増設後の常用雇用者1人以上増加 1,500万円

 

 

4.最後に

人間の一生の中で一番長い時間を費やしているのは仕事です。にもかかわらず仕事を楽しいもの、面白いものと感じていない人は多いのではないでしょうか。私はそんな世の中はつまらないと考えています。これからの時代に求められる街づくりは「働いて楽しい街」だと気づきました。これを市の街づくりのコンセプトで一番に重要視しています。「自律性」「成長性」「ダイレクトな結果」の3つが仕事に対して満足度を高めるために必要な要素です。3つの要素が揃う環境を増やしていくことで、こうした世界観を求める人たちを増やす取り組みを続けています。

 

地方だからできない、起業なんて自分にはできない、というような思い込みを多くの人が持ってしまっていないでしょうか。その思い込みは自分自身で壁を作っているだけで、視点を変えるだけでプラスに変わります。過疎や人口減少問題はマイナスなイメージを持たれてしまいがちではありますが、今後確実に経済を動かすドライバーになっていくと考えています。世界的に見て先進国だけでなく新興国でも近い将来、人口減少の問題に直面します。過疎地は世界の将来の姿であり、将来の姿である八幡平市を実験場にしてビジネスが生まれています。

 

八幡平市は、人を育て地域の課題解決事業を作り、今ある産業をさらに成長させつつ、次世代の成長産業を作ることを目指しています。都心のスタートアップにはできない、むしろ過疎地の起業家だからできるビジネスを作っていきます。

少し視点を変えるだけで、どこでも・なんでも新しいものを作り出せるという社会を八幡平市から広めていきたいです。八幡平市でできるのだからどこでもできる、自分にもできる、そんな風に思って行動をしてくれる人を1人でも増やせたら嬉しいです。そうやって面白いことをもっと増やしていきたいです。八幡平市って面白い取り組みをしているよね、と思ってもらえることが願いです。

 

5.編集後記

自然に囲まれた中でウィンタースポーツをはじめとするアクティビティの魅力を持ちながら、八幡平市から起業家を生み出す興味深い取り組みを行っていました。何かをはじめる、可能性を広げる土地として訪れてみてはいかがでしょうか。

 

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