自治体インタビュー

【自治体インタビュー#23】福岡県北九州市|面白い人が集まるディープな街

更新日:2022.09.14

福岡県北部に位置する北九州市。同市の竹長氏、佐藤氏に北九州市の魅力や企業誘致に対する想いを伺いました。様々な支援制度を設けるだけでなく、企業立地支援課全員で最大限支援する体制で企業誘致を積極的に行っていました。

 

(右)

北九州市産業経済局 企業立地支援部 企業立地支援課

サテライトオフィス支援担当 係長

竹長 洋志 氏

 

(左)

北九州市産業経済局 企業立地支援部 企業立地支援課

IT産業誘致担当ライン 主査

佐藤 陽介 氏

 

【福岡県北九州市】

 

1.北九州市について

1-1.特徴

北九州市は福岡県北部に位置し、海に囲まれた地形のため、夏場の梅雨明け後に気温30度以上の真夏日になることはありますが、他の九州地区に比べて猛暑日が少なく、比較的過ごしやすいのが特徴です。九州は台風の上陸が多いエリアですが、北九州市を外れて通過することが多く台風の被害も比較的少ないです。冬は季節風のため曇天が多く、日照時間が少なくなる影響から、数年に一度雪が積もることがありますが、総じて過ごしやすい気候と言えるでしょう。

 

また、北九州市には24時間利用可能な北九州空港があります。早朝から深夜まで運行されており、北九州空港・羽田空港間は1日合計15便運行されており、90分でアクセスが可能です。国内線だけでなく国際線の利用も可能で、中国・大連線や韓国・釜山線、仁川線、台湾・桃園線も運行をしています。(コロナ禍により、現在は運休中)

さらに、北九州市には新幹線が乗り入れるJR小倉駅もあります。北九州空港からJR小倉駅まではエアポートバスで約30分でアクセスが可能なため、北九州市を中心に近隣県への訪問もできるでしょう。四国、関西、東京に接続するフェリーもあるため、様々な交通機関でのアクセスが可能です。

そして、工業地帯として栄えた歴史から職人気質な人が多い地域です。ものづくりが盛んで今でも工業地帯として栄えているエリアもあります。八幡製鉄所の開業により、工業地帯で働く人が大勢集まったことで、その周辺に酒屋の店先で酒を飲める「角打ち」も多くできました。今では全国に広がっている「角打ち」は、北九州市が発祥と言われています。

 

1-2.観光エリア

北九州市は港町として栄えた歴史があるため、様々な歴史的文化財が残っています。

門司港レトロ地区は門司港駅や旧松本家住宅洋館、旧門司三井倶楽部本館などの建造物が残っており、大正ロマンを味わえる「門司港レトロ」として現在も栄えています。赤煉瓦の街並みがインスタ映えすることで若い世代に受け、Instagramで「#門司港レトロ」のハッシュタグで検索するとたくさんのレトロな街並みを見ることができます。門司港駅は日本で初めて駅舎として国の重要文化財に登録された建造物で、現在、駅舎で国の重要文化財として登録されているのはこの門司港駅と東京駅のみです。

また、門司港駅周辺は海側と山側でエリアが分かれており、海側は所謂観光エリアとして、山側は居住エリアとして2つのエリアが共存しています。海側の観光エリアには、先程紹介させていただいた、大正ロマンを味わえる街並みの中に門司港名物の焼きカレーを楽しめる店舗があります。

山側の居住エリアには、「栄町銀天街」という商店街があり、古き良き店舗が立ち並んでいます。休日には数十人の列ができるようです。その中でも「梅月」の梅月スペシャルがおすすめです。

そして、門司港レトロ地区は、夜景スポットとしても有名であり、2018年に「日本新三大夜景都市」認定をされて以来、「門司港駅」などの歴史的な建造物のライトアップ等に努めた結果、2022年3月に開催された「夜景サミット」にて行われた改選で日本新三大夜景都市としてランキング1位で再認定されました。他にも小倉城や若戸大橋のライトアップなど街全体でイルミネーションイベントを実施し、地形を生かしたバリエーション豊かな夜景を観ることができます。

門司駅周辺の再開発が進み、近年多くのマンションが建設されました。一人暮らしでも家族でも住みやすいエリアで、小倉駅周辺で働く人が多く住んでいます。門司港駅と門司駅では雰囲気が異なるのでどちらも行ってみるといいかもしれません。

 

その他、登録有形文化財建造物や無形民俗文化財も複数あります。

<登録有形文化財建造物>

・門司区役所

・旧古河鉱業若松ビル

・旧サッポロビール九州工場

 

<無形民俗文化財>

・小倉祇園太鼓

・戸畑祇園大山笠

・黒崎祇園

 

さらに、北九州市は山と海に囲まれた特性を活かしたアクティビティも豊富です。日本三大カルストの1つに数えられる「平尾台」は、天然記念物だけでなく、国定公園、県立自然公園にも指定されており、そこではグランピングも楽しむことができます。周辺には鍾乳洞もあるため、同時にケイビングも楽しめるでしょう。夜は周辺に光源がないため、真っ暗な空間で星空を楽しむこともできます。

海のアクティビティでは、地形を活かして釣り公園や桟橋が整備されており、そこで釣りを楽しむことができます。周防灘、関門海峡、響灘、洞海湾を抱える海岸線は政令市で最長の約200kmを有しており、釣り初心者から上級者まで楽しめるスポットになっています。故・梅宮辰夫氏も所属していた釣りクラブがあり、頻繁に釣りのために北九州市に来ていたと聞いています。

関門海峡周辺では釣りだけでなく、関門海峡下の「関門トンネル人道入口」を通って福岡県から山口県まで歩いて行くことができたり、関門海峡を上からみたり、下から見ることもできるので一度足を運んでみてください。

 

【上から見た関門海峡】

【下から見た関門海峡】

 

1-3.オフィスエリア

北九州市では、小倉駅・黒崎駅周辺にオフィスが集まっています。現在、全体的に築年数が古いビルが多いため、老朽化ビルの建て替え費用の最大2/3、次世代仕様のビル建設の費用の20%(最大10億円)を補助する取り組みを行っています。この補助金を使った第一号物件が2024年4月に竣工予定で、今後、新たなオフィスビルの建設が進むと思います。

 

北九州市に出店する企業の多くが、まずは本市が実施する「おためしサテライトオフィス推進事業」を使って、北九州の魅力を体感し、その後北九州市へ出店する流れを取っています。R2~R3年度で118社、今年度は5月に事業がスタートし、2022年7月時点で12社の企業にお越しいただいています。本事業でお越しになる企業には小倉駅周辺にあるコワーキングスペースを紹介したり、地元企業とのマッチングを行うこともあります。

 

【GMOインターネットグループ株式会社】

 

【株式会社ラック】

 

【株式会社メンバーズ】

 

2.北九州市で働く魅力

近年多くのスタートアップ・ベンチャー企業に北九州市へ進出・創業いただいています。

北九州市全体で企業誘致を積極的に行っており、コワーキングスペースの拡充にも力を入れており、進出・創業後も拠点に困ることなく働くことができると思います。

首都圏ではスタートアップ・ベンチャー企業が、まずはコワーキングスペースを利用して、企業成長をしていることもあるのではないでしょうか。北九州市でも首都圏のコワーキングスペースに引けを取らないような施設がいくつもあります。COMPASS小倉やコワーキングスペース秘密基地、ATOMica北九州、おやこわーく、DISCOVERYcoworking、などの複数施設が小倉駅周辺にあるだけでなく、GYMLABOのように大学のキャンパス内にあるコワーキングスペースや、ゲストハウスを併設したコワーキングスペースもあります。各施設ごとに特長があり、実際に全て利用してみると面白いかもしれません。

 

【小倉北区】

<COMPASS小倉>

「日本一起業家にやさしいまち北九州」をコンセプトに創業支援プログラムや創業に関わる相談窓口の設置など創業に関することを集約しているコワーキングスペースです。北九州市より委託されたfabbitが運営を行っています。

 

<コワーキングスペース秘密基地>

まるで秘密基地のような内装で、ビジネスとしての場だけでなく地域の交流の場としても活用されています。

 

<ATOMica北九州>

「地域の個のチカラをひとつにする」をコンセプトにHUBとなるようなコワーキングスペースを提供しています。

 

<おやこわーく>

キッズスペースが併設されたコワーキングスペースで、保育所でもない、在宅でもない、新しいスタイルのワーキングスペースを提供しています。

 

<DISCOVERYcoworking>

メタバースやWEB3などの新しい環境でのビジネスも可能なコワーキングスペースです。JR小倉駅直結のアクセスの良さだけでなく、NTTdocomoのキャリア5Gが常設されており利便性が高いです。

 

【戸畑区】

<GYM LABO>

九州工業大学の創立110年を記念して、旧体育館をリニューアルしてできたコワーキングスペースです。産学官の交わりとなるような拠点の形成を担っています。

 

このように、JR小倉駅周辺だけでも5つのコワーキングスペースがあるため、進出・創業したばかりでも拠点に困ることはないでしょう。コワーキングスペースの中には創業支援ベンチャーキャピタル(VC)とのマッチングを行う施設もあるため、視察して企業にあったコワーキングスペースを見つけることができると思います。

 

3.企業向け助成金制度

北九州市へ進出いただいた企業には、ただ助成金制度を用意するだけでなく、私たち企業立地支援課が地元企業とのマッチングも行っています。手前味噌ですが、昨年度は「おためしサテライトオフィス推進事業」にて79社の企業にお越しいただき、順次進出のご相談をいただいています。

「おためしサテライトオフィス推進事業」以外にも様々な支援制度を設けているため、進出の際に懸念となるポイントも支援制度により払拭できると思います。

 

【北九州市企業立地ガイド】

 

【おためしサテライトオフィス推進事業】

実施期間 令和4年5月9日(月曜日)から令和5年2月28日(火曜日)まで
対象期間・対象人数 最長30日、原則1社につき3名まで
対象企業 首都圏等の企業で、北九州市での拠点設置やワーケーションに興味のある企業
北九州市が負担する費用 ・ホテル等の宿泊費・ワークスペース利用料・・・7,500円(最大)/日・人

・首都圏からの移動費・・・片道30,000円(最大)/日・人

(注)助成額上限は、事前ヒアリングにより決定します。

(注)実証事業終了後の精算となります。

(注)助成上限額を超えた経費は、参加者負担となります。 

参加企業様にご負担、

ご協力いただく内容

・実証期間中の社員様の滞在に係る費用

 (北九州市が負担する費用を除くもの)

・実証期間中や終了後に実施するアンケート調査・ヒアリング及び

 当事業PRに関する取材など

 

【北九州市企業立地優遇制度】

画像出典:SUBSIDY助成金制度

 

 

4.最後に

私たちは、若者や女性の雇用創出や社会減の減少・社会増への効果を期待して企業誘致を積極的に行っています。

北九州市に出店いただくことにより、実際に北九州市の滞留人口が増えるだけでなく、もともと北九州市にいた人材の雇用の創出にも繋がっています。H26~R3年度の8年間では3,200名以上の新規雇用を生み出しました。ただ支店として構えるのではなく、コンタクトセンターやテクノセンターとして出店いただくことが多いため、新規雇用人数が集まっているのだと思います。

その他にもまだ企業名は出せませんが、スタートアップ企業の誘致も行っており、今後さらに北九州市にIT系企業の集積がされるでしょう。

また、「おためしサテライトオフィス推進事業」がスタートしてから多くの企業にお問い合わせいただき、事業開始から合計約100社以上の企業にお越しいただいています。事業開始時の令和2年度はワーケーションも兼ねた申し込みが多かったのですが、令和3年度はビジネス展開を視野に入れた申し込みが多くなっています。北九州市は観光資源が豊富なわけではないので、観光ワーケーションというよりは、地元の方々と交流する「ワーク&コミュニケーション」が近いかもしれません。過去に本事業でお越しいただいた企業も地元の方々とコミュニケーションを取ったことにより、「北九州市が好きになった」という声もいただきました。

北九州市には面白い人が多く、街全体が面白い街になっているからこそ北九州市を好きになっていただくことが多いと感じています。関東からお越しになった方から「関西みたいな雰囲気」とよく言われます。程よい都市機能と田舎が融合したディープな街だからこそ、そう感じるのではないでしょうか。

そして、面白い人が集まる場所も豊富にあります。例えば、北九州市には、日本で初めてリノベーションを始めた株式会社北九州家守舎が運営するカフェ合同会社ポルトが運営するゲストハウス「PORTO」などがあります。

 

北九州市に出店いただいた際には、最大限支援をさせていただいています。例えば、人材採用支援です。

地方出店する企業の多くが、出店先での人材採用ができるかが懸念点になることが多いのではないでしょうか。北九州市では出店の際に北九州市の人材を採用できるように学校周りも一緒に行っています。北九州市には理工系の大学が多く、その大学周りをするだけでなく、九州・山口地区にある12高専とのパイプもあるため、一緒に学校周りを行っています。新卒採用を行う際、お役に立つと思います。

また、北九州市の学生と企業をマッチングさせるイベントとして、年2回「IT JAM」を開催しています。そこではカチッとした就職説明会というよりも、各企業の人事担当者を集めてラフに面談ができるような場になっているため、企業と学生がざっくばらんに話せるようになっています。地元の学生が北九州市で魅力的な企業に出会えるように、そして、企業が優秀な学生と出会えるように支援を行っています。

さらに、新卒採用に加えて、中途採用の支援も行っています。過去に出店いただいた企業から即戦力を求められることが多かったため、今年度から新たにIT分野の学び直し教育カリキュラムの事業を開始しました。全国から受講生を公募し、IT分野について学び直しを行うだけでなく、半年間の教育カリキュラム終了後、北九州市が就職の支援を行います。参加費無料のため、UIターンで北九州市に戻ってくる人材もいれば、IT業界未経験の北九州市の人材も集まると考えています。

カリキュラムはIT企業へのヒアリングも行い、実地に即した内容になっているため、半年のカリキュラム終了後に即戦力として活躍できる人材を育成できる見込みです。その他、メンター制度で北九州市のIT企業のメンターを設けるため、ITスキルのことだけでなく北九州市で働くことの相談もできるのではないでしょうか。

 

 

そして、私たちは進出前だけでなく進出後も限りなく支援を行っています。進出後にビジネスマッチングがあるように、地元企業と協業できる部分がないか一緒に模索し、実際にマッチングした事例も複数あります。例えば、ITコンサルの企業が出店した際に、地元製造業の企業のエンジニア採用の課題を解決するようなこともありました。

このように企業誘致を行うことで、地域課題の解決にも繋がっているケースがあるため、北九州市がより魅力的な街になるのでは、と考えています。

北九州市へ出店を検討される際、私たちが最大限支援しますので、お気軽にご相談いただければと思います。「おためしサテライトオフィス推進事業」で北九州市へお越しいただく際にも私たちがアテンドしますので、なんでもご相談ください。

 

5.編集後記

IT系企業の企業誘致を積極的に行う北九州市にインタビューを行いました。同市は誘致して終わりではなく、進出後も痒いところまで手の届いた支援を行っているため、同市に根を張っていけるのではないでしょうか。

北九州市のことを知ってみたいという方は「おためしサテライトオフィス推進事業」で北九州市を体感してみるといいかもしれません。

 

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