居抜き物件の入居・退去は注意する点が多く、通常物件に比べてトラブルが起こりやすいと言われています。今回はどんなタイミングでトラブルになりやすいのか、そしてトラブル事例・対処法を紹介させていただきます。
居抜き物件の入居・退去でトラブルになりやすいタイミング
居抜き物件に限らず通常物件でも入居までに長いフローがありますが、居抜きは特殊な募集形態のため通常物件に比べてトラブルになることもあります。ここではトラブルになりやすいタイミングを紹介させていただきます。
オーナーへの確認時
居抜き物件の入居・退去時のどちらかで必ずと言っていいほどオーナー(貸主)への確認が必要になります。しかし、オーナーの中には居抜き不可としていることが多く、居抜き可能かの確認時にトラブルになってしまうケースがあります。近年、オフィスでの居抜き物件が増えていますが、最初から居抜き可としているケースは稀でしょう。
造作譲渡契約時
居抜き物件の入居・退去では退去テナントと入居テナントの間で造作譲渡契約を結ぶことになります。しかし、その造作譲渡契約書に不備があることでトラブルになるケースがあります。
引き渡し時
入居テナントが居抜き物件に入居して、引き継いだ内装・什器を確認する際、予定していたものがなかったり破損汚損していたりするケースがあります。
居抜き物件で入居・退去する際のトラブル事例5選&対策法
オーナーの承認なしに退去テナントが居抜きの声がけをした時
前述で記載した通り、オーナーの中には居抜き不可としているケースもあります。しかし、居抜きの承認なしに退去テナントが居抜きの声がけをした場合トラブルになるケースがあります。近年、退去テナントがSNSで声がけをしてトラブルになるケースもあります。
・対処法
まずは、オーナーの承認を得てから居抜き退去の準備を進めましょう。SNSの投稿についても確認が必要です。
造作譲渡の調整時
造作譲渡契約の調整中にも関わらず、賃貸借契約を締結してしまった場合にトラブルが起きます。もともと進めていた造作譲渡契約の内容を覆して、退去テナントにとって優位な内容に変更をしようとするケースです。
・対処法
造作譲渡契約と賃貸借契約、引き渡しの状態をしっかりと確認することはもちろんですが、契約締結のスケジュールに関しても造作譲渡契約と賃貸借契約を同時に契約締結するようにしましょう。仲介業者を間に入れるとスムーズに進められます。
賃貸借契約時
契約時に入居テナントから退去テナントへ内装や什器の一部を撤去してほしいといった要望があった際に、原状回復よりもコスト削減になるため後継テナントが対応を進めたとします。しかし、解体を行う中で設備環境を維持するための内装工事が必要と判明した場合、その費用をどちらが負担するかでトラブルになるケースがあります。
・対処法
内装規模によって一部解体する場合に追加の内装工事を行う必要があります。居抜き物件に入居する際、撤去してほしいものがある場合は什器に留めておきましょう。また、なるだけ早めに内装業者との打ち合わせをしておくといいでしょう。
物件引き渡し時
入居テナントが物件を引き渡された際に、造作譲渡契約書に記載されたもの以外の退去テナントの残留物があるケースです。入居テナントから退去テナントへ確認を取っても解決しない場合もあります。
・対処法
造作物の譲渡リストを作成するといいでしょう。何を譲渡するのかを明確にすることで物件引き渡し時のトラブルを防止できます。また、引き渡しの状態をクリーニングをしておくか、どちらの契約期間内で行うかなど詳細を事前に決めておくといいでしょう。
入居テナントが数年入居した後、原状回復を行う時
入居テナントが数年入居した後に原状回復を行う際に、原状回復の基準仕様書がないことで原状の定義がわからず、原状回復の仕様についてオーナー・入居テナント間でトラブルになるケースがあります。
・対処法
賃貸借契約時に原状回復に関する基準仕様書を添付しましょう。ない場合に関しては、現テナントから原状回復の見積りを取得しておくといいでしょう。ただし、退去する際には金額や原状回復の必要箇所に変更がある可能性が出てくるので参考資料として扱う必要があります。
まとめ
居抜き物件は通常物件と契約フローが異なり、注意する点が増えてトラブルが起こりやすいです。1つ1つ丁寧に確認し、トラブルが起こりやすいタイミングに特に注意して対応するといいでしょう。居抜き物件に特化した仲介業者もいるため、不安な場合は仲介業者に相談しましょう。
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営業担当者 / ハイッテ編集部監修者
代表取締役社長
関口秀人(sekigushi hideto)
宅地建物取引士【東京都知事:第101772号】
近畿大学卒業後、新卒で不動産仲介会社に入社。24歳で共同創業者として株式会社クリアビジョンを設立・上場までをサポート後、2018年2月に株式会社IPPO(イッポ)を設立。主要大手デベロッパーとの契約を全て経験しており、何万坪でも対応可能。どの街に、どこが運営している、どんなビルがあるかを把握しており、まさに不動産生き地引といえる。また、不動産業界経験14年の中で、10年以上お付き合いのあるお客様も多く、顧客上場社数は20社以上、顧客EXIT社数は30社以上にのぼる。各企業の成長フェーズに合わせた課題とソリューションのノウハウがあり、関わったお客様は皆上がっていく傾向あり。
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