VCインタビュー

「1社でも多くのスタートアップが世の中に羽ばたいてほしい」VCインタビュー#12 Spiral Capital株式会社 植木 修造氏

2022.01.21

VCインタビュー第12弾は、Spiral Capital株式会社の植木 修造氏です。

株式会社ドリームインキュベータ(DI)でのコンサル経験を経て、VCとして転職した植木氏。出資の際のポイントや、出資後どのような支援を行っているのかを伺いました。

 

<プロフィール>

植木 修造(うえき しゅうぞう)氏

2020年1月、Spiral Capitalに参画。当社への参画以前は、2018年4月ドリームインキュベータ入社。主に戦略コンサルティング部門にて、ヘルスケア、エネルギー、保険など様々な業界の大企業における新規事業の企画・立案支援に従事。並行して、大企業からのカーブアウトやベンチャー企業の資金調達支援も担当。それ以前は、ZS Associatesにて、大手製薬企業の営業・マーケティング戦略に関するコンサルティングに3年間従事。東京大学法学部卒

 

【Spiral Capital株式会社】

 

<インタビュアー>

株式会社IPPO 山岸 耕

yutori、ペイミー、AppBrewといったスタートアップのオフィス移転を創業期から手掛ける。

 

1.Spiral Capitalについて

1−1.特徴・強み

——Spiral Capitalの特徴について教えてください。

純投資の2号ファンド及びセイノーHDと共同運営しているSector-focused Venture Capital(Logistics Innovation Fund)の2つを現在運営しており、これまでの累計投資社数は約60社となります。私自身は主に2号ファンドの投資を担当しており、これまで約10社に投資をしてきました。

 

投資方針としては、アーリーステージでのリード投資をメインとしており、以降レイターステージまでカバーしています。1社あたり最大5億円が投資金額の目安です。

 

弊社の出自がCVCという経緯もあり、大企業のアクセラレータープログラム運営等、オープンイノベーション支援実績も豊富に有するので、投資後は、これまでに蓄積された大企業とのネットワーク(約800社)を活用しながら支援を行っています。また、事業の壁打ちや、特にアーリーステージの投資先にはCFOの機能を一部提供する等、幅広い支援を心がけています。

 

1−2.投資先のターゲット

——投資先のターゲット、投資ペースを教えていただけますか?

投資先はいずれも「X-Tech」ないしは「DX」と呼ばれる産業変革を推進する会社です。特定の産業に特化したバーティカル型スタートアップへの投資に重点を置きつつ、産業横断的なホリゾンタル型にも投資を行っております。バーティカル型の中では、特にフィンテック・スマートインフラ・ヘルスケア領域を重点投資テーマとして定めています。

 

投資のペースは一般的なVCと大きくは変わらないと思いますが、1ヵ月に1~2社程度を想定しています。

 

——会社としての主な投資先を教えていただけますか?

リアルアセットやハードウェアが関わる会社が多いです。例えば、株式会社オープンロジ(https://corp.openlogi.com/)は、全国の物流倉庫をアグリゲートして、主にEC事業者向けのフルフィルメントネットワークを提供しています。GITAI Japan株式会社(https://gitai.tech/)は、ISS(国際宇宙ステーション)の船内実証や、トヨタとの共同研究で有人与圧ローバ向けロボットアームの開発にも携わっています。

 

1−3.投資する際のポイント

——投資する際に注目するポイントはありますか?

どのスタートアップでも必ず見るのは経営陣の強さです。一口に「強さ」と言っても様々な側面がありますが、①視座の高さ(なぜその事業をやろうと思ったか、原体験や思いの強さ)、②人を魅了する力(ストーリーテリング力・チャーミングさ)、③誠実さ、④事業解像度の高さ・意思決定力、とざっくり分解して見ています。全てを一人で完璧に備えた方はいないので、経営陣間でどのように補完関係にあるかも踏まえています。

 

業界は特に絞ってはないですが(先ほどお伝えした通り、重点投資テーマはありますが)、スタートアップが解決しようとしている社会課題に私自身が共感できるか、という点は個人的に重きを置いています。

 

——投資の判断をする上で苦労した点や、投資を迷った点はありますか?

スタートアップが取組んでいるビジネス・社会課題は良くとも、先ほど述べた経営陣の強さに納得感が持ちきれない時です。経営陣の強さに対する見立ては、ロジカルに説明できないパーソナルな部分も多く、極めて属人的なものだと思いますので...。私がしっくり来なくても、他のキャピタリストであればしっくりくるケースは全然あると思います。

 

最近はスタートアップのレベルがとても高いので、ファンド規模に制約が無ければ全部投資したいと思ってしまいますけどね(笑)それではキャピタリストとして失格でしょうけど。

 

2.植木さんについて

2−1.VCになったきっかけ

——前職が株式会社ドリームインキュベータ(DI)と伺っているのですが、そこからVCになったきっかけを教えてください。

前職ではコンサルチームとスタートアップ向けFAチームの兼任をしており、VCとの関わりもありました。大企業支援とスタートアップ支援を並行して行う中で、やはりスタートアップにより深く関わる仕事をしたいと純粋に思ったこと、加えてVCであれば複数のスタートアップを支援できるので、(間接的な関わり方ではありますが)事業を通じて社会に提供できる付加価値の総量が大きい、という2点からVCに移ろうと考えました。

 

2−2.投資後の付き合い方

——投資後、スタートアップとどのような付き合い方、支援をしているのでしょうか?

日頃はFacebookのMessenger等を通じて連絡を取り合い、最低でも月1で定例ミーティングを行うことが多いです。ファイナンスラウンドが近づいた時はさることながら、そうでない時も、例えば日々の業務に忙殺されている経営陣の目線を上げるように中長期目線の戦略議論をしたり、事業共創のパートナー候補企業を考えたり、と要するに必要なことはなるべく全部カバーするように心がけています。

 

あとは、起業家・経営陣のタイプにもよりますが、適度な距離感を保つことも意識しています。もちろん今お伝えしたようなサポートはしていますが、起業家からすれば「今言われても困る」とか「そんなこと分かってる」と感じるタイミングもあると思いますので...。信頼できる経営陣だからこそ投資をしている訳なので、任せるべき点は任せるということです。と言いつつ、頼られると嬉しいので(どのキャピタリストもそうだと思いますが)、投資先にはぜひ遠慮なく声をかけて欲しいなと思っています(笑)

 

——前職のコンサルのスキルを活かしている点はありますか?

コンサルの経験はありつつも、特定の業界・業務領域に起業家ほどの深い専門性があるわけではないので、大局的な目線で見た時の議論・壁打ちの方が得意です。とはいえ、先ほどお伝えした通り、「必要なことはなるべく全部カバーする」スタイルです。

 

2−3.投資先とのエピソード

——印象に残っている投資先とのエピソードを教えてください。

2社あるのですが、1社目は株式会社Save Medical(https://savemedical.co.jp/)です。実は最初の繋がりはTwitterでした。元々、私自身が以前ヘルスケア・製薬領域でのコンサルを行っていたので興味があり、「デジタルセラピューティクス(DTx)で出資するならここだ」と考えていたタイミングで、ちょうど先方からTwitterのDMを頂いたのがきっかけでした。SNS経由で投資まで至るケースは珍しいので、記憶に残っています。

 

同社は、医療機器承認を取り、医師が処方するデジタル治療用アプリの開発を行っています。アプリで行動変容を促すことで、患者様に治療効果をもたらすという仕組みです。治験を成功させ、医療機器承認を獲得するのは、スタートアップにはやや難易度が高いですが、強力な経営陣が揃っていたので投資を決めました

 

2社目は株式会社ミナカラ(https://minacolor.com/pages/corporate)という、一般用(OTC)医薬品のEC・オンライン薬局事業を運営するスタートアップです(2021年10月に株式会社NTTドコモ及び株式会社メドレーによって共同買収されました。こちらを参照)。

 

従来、薬局は狭いバックヤードで、薬剤師自身が物流業務を行うこともある非効率な状況でした。その中で同社はECに特化している(=全国各地に店舗を設置する必要が無い)ことから、セントラルキッチンならぬセントラル薬局の構想を持っており、弊社のLP企業のセイノーが持つ物流倉庫内に薬局を開設するに至りました(こちらを参照)。これにより、ピッキング・梱包等の物流業務が大幅に効率化されました。

 

投資実行からセントラル薬局の開設まで約半年と、爆速で進んだ事業提携でしたし、私も実際に複数のセントラル薬局候補となる物流拠点を訪問したので、とても印象的でした。

 

2−4.最近注目している業界

——最近注目している業界はありますか?

ヘルスケア業界と物流業界です。

 

ヘルスケア業界(特に疾患予防など狭義のヘルスケア業界はなおさら)で日本のスタートアップが成功している例は極めて少ないと思います。社会保障費の問題を始め、ここから10年間で社会課題が顕在化する業界だと思うので、そこに取組む企業が伸びるのでは、と考えています。

また、物流業界もここから10年間での変化は大きいと考えており、コロナ禍を契機にEC化率が向上し、需要が急増する一方で、人材不足の課題はより顕著になっています。ドローンや物流ロボットなどのハードウェアとソフトウェアを一貫して作っていく会社は注目して見ています。

 

最後に、ESG・脱炭素・サステナビリティが世界的に注目されていて、日本でも2050年を見据えると間違いなくカーボンニュートラルへと進んでいくので、VCとして意識すべき時間軸には留意しつつも、この分野は押さえておきたいと思っています。

 

3.今後の展望

——VCとして、さらにその後をどのようにしていきたいと考えていますか?

まずはキャピタリストとして、投資先を1社でも多く(私の気持ち的には全社ですが)世の中に羽ばたかせるために支援していきたいと考えています。

 

その先は正直決まっていないのですが、VCからスタートアップにプレイヤーとして移られる方を見ると、自分もそうしたいと感じることは多々あります。24時間365日自社の事業成長を考えている起業家に対して、VCが提供できる付加価値はごく一部に留まってしまいますので...。VCとしての実績を積んでから、と考えているので先になるとは思いますが。

 

4.興味があるもの

——プライベートな質問なのですが、今興味があるものはありますか?

謎解き、サバゲー、脱出ゲーム等が好きです。特にサバゲーは、自分がこう動いたら相手がこう動くだろうという予想ができるのが楽しいです。サバゲーの弾は当たると結構痛いですし、スリルも感じられるので(笑)。全般的に頭を使うものが好きなのかもしれません。

 

あとは、中学から大学までバドミントンをしていたので、時々今でもやっています。コロナ禍になってからは頻度が大分下がりましたが...。

 

 

5.編集後記

出資の際は実際に現場を見にいくことも重視されており、スタートアップに寄り添った支援をしているのが伝わってきました。

 

インタビューを行う中で植木さんの興味の幅がかなり広く、深掘りすればするほど、気になる話題が出てきて、インタビューの時間がもっと欲しいくらいでした。

 

 

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